パノラマ島綺譚』江戸川乱歩著 2010
4/29
木曜日
昭和の日

 江戸川乱歩ベストセレクション6は『パノラマ島綺譚』だ。

 昨日は、帰宅経路を変えたら、会社の飲み会後でもあったためか、kT線で眠り込んでしまい、気が付けば、あらあら、アララで、かなり先まで送り届けてくれてしまった。お陰様で目的地にたどり着くまで一苦労した。

 さて、江戸川乱歩氏の業績として、文末に解説があったので、名前を聞いたことはあるが、よくは知らない方に、改めてご紹介しましょう。

1.日本で初めて本格的な謎解きミステリ作品をコンスタントに発表した。(デビュー作「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」など)
2.新聞や大衆誌に一般向けのスリラー(「一寸法師」「蜘蛛男」「魔術師」など)、少年雑誌にジュニア向けのミステリ(少年探偵団シリーズ)をそれぞれ連載して、ミステリ読者の裾野を圧倒的に広げた。
3.英米の推理小説を系統的に紹介して戦後の翻訳出版を推進した。
4.新人作家の育成・バックアップに全力を注いだ。(「宝石」の編集、江戸川乱歩賞の設立など)



文庫: 219ページ
出版社: 角川グループパブリッシング
ISBN-10: 4041053331
ISBN-13: 978-4041053331
発売日: 2009/5/23

 本書に収録されているのは2篇。

 『パノラマ島綺譚』は、「新青年」の1926(大正15)年10月号から1927(昭和2)年4月号まで、5回に渡って掲載された。理想郷として、とある島に人工楽園を作るが、その描写が微に入り細に入りファンタジー的であるが、多少風景描写が長いところが気にかかる。

 『石榴(ざくろ)』は、「中央公論の1934年9月号に発表された作品。E・C・ベントレーの1913年作品『トレント最後の事件』に触発されて書かれた推理小説。逆転が逆転し、なかなか奥行きのあるストーリーとなっている。(2010/04/29 20:10)

■内容(「BOOK」データベースより)
売れないもの書きの廣介は、極貧生活ながら、独特の理想郷を夢想し続けていた。彼はある日、学生時代の同窓生で自分と容姿が酷似していた大富豪・菰田が病死したことを知り、自分がその菰田になりすまして理想郷を作ることを思いつく。荒唐無稽な企みは、意外にも順調に進んでいったのだったが…。ほかに「石榴」を収録。妄想への飽くなき執念を描くベストセレクション第6弾。


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