座頭市の末裔に違いない! 2010
4/2
金曜日

 新しい職場での二日目、弊社内の注力する企業の勉強会が、部内で企画され、参加した。来週、月曜日も後半部分の講義がある。

 そういや、新木場駅で乗り換えの途中、目の不自由な男性が白い杖をつきながら、僕の3メートル前を改札に向かって歩いていた。普通の人たちは邪魔にならないように、そっと道を譲ったり、中には腕を掴ませて静かに誘導してあげたりして、微笑ましい光景はよくあるよね。

 ハプニングは、突然に起きた。その盲目の方が杖で前方を探るように、静かに進んでいると、おばちゃんが彼を横切るようにクロスした。そのおばちゃんは帰宅を急いでいたのだろうか、たぶんそうだろう。おばちゃんは、彼を避けようとして、どちらかに寄ろうとしたけれど、迷った。盲目の彼は淡々と杖と足を進めていた。その二人が交差した。白い杖が左右に規則的に繰り出すのと、歩調を合わすかのように、おばちゃんの足と絡まった。おばちゃんの足が右・左と順序よく払われた。100万分の1の偶然だ。見事に決まった。おばちゃんが宙を彷徨いながら、手で何かを掴もうとした。その刹那、偶然にも僕と目があった。「あれ、あれ、あっーーーーれーーーー・・・」とアイビームを発していた。彼女はもんどり打って、力任せに前へ倒れた。「どさっ」と強烈な音が響き渡った。僕は映画の座頭市を見るような、一瞬、場の空間が凍り付いたように感じた。目の不自由な彼には一切、非はないけれど、そのハプニングがあまりにもおかしくて、笑いを堪えるのが死ぬほど辛かった。不謹慎な僕。きっと、彼は座頭市の末裔に違いない。

 それでは気分一新、ポール・マッカートニー&ウィングスのアメリカ・ツワー、1976年のライブ映像から、乗りまくっているポールの声が素晴らしいぞ、と。(2010/04/02 21:13)


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