いのちと心と遺伝子を守るふるさとの森を-日本から世界へ- 2010
2/23
火曜日

 みなと区民エコプラザで「みなと森と水会議」の講演会があり、午後から休みを頂いて拝聴した。講師は知る人ぞ知る”宮脇昭氏”だ。氏の略歴をまず、紹介しておこう。ワンガリー・マンタイさんとも交流がある方だ。

『植物生態学者1928年、岡山県生まれ。横浜国立大学環境科学センター長などをへて、現在、横浜国立大学名誉教授、(財)IGES国際生態学センター長、(財)横浜市緑の協会特別顧問。国内外1600カ所以上で植樹指導し、3000万本の木を植えている。著書に『植物と人間』(NHKブックス、毎日出版文化賞受賞)ほか多数。1991年朝日賞、1992年紫綬褒章、2000年勲二等瑞宝章、2006年地球環境国際賞のブループラネット賞を受賞』

 御年82歳の老体だが、捲るように喋り機関銃の早口は生物学者として、現場主義として60年間、この世界に身を置いてきた自信と経験から結果を伴ってきた、さりとて、とても穏やかながら、目力を蓄えた表情をしていた。講演中にメモった内容から、ペーストしよう。(多少、文脈が乱調だが・・・)

 木を植えるのは、人・人・人、環境を守ると言うことは命を守るということ、心を守るということ。危機はチャンス、宇宙の奇跡として水中から陸上に生物・植物が藻類→苔類となり、シダ・ワラビなど、光合成をするようになった。しかし、幾度となく次のビックバーンを繰り返し、氷河期があり、動植物が地球に埋もれ、更に再生輪廻を繰り返した。エコロジカルは引き算ではなく足し算であること、もう一度大きくなる力を持ったもの、「本物」とは長持ちするもの、一本も木を植えずに「環境」「エコ」というべきではない。生物は保守的で楽観主義。 

 「幸福」とは何であるか、幸福とは自分で作るもの、幸福とは生きていること、何があっても死んではだめだ。未来に残すのは、故郷の森の故郷の木を育てよう。本物は管理はいらない。小手先の対応はうまいが、長くは続かない。地球には40億年の歴史がある。やりながら考えよう。子ども達に命の”尊さ”、”はかなさ”、”厳しさ”を教えていない。ダイナミックに自然の中で維持されなければ、多様性ではない。哲学を正しく理解してほしい。毒は排除すべきである。偽物は排除するべきである。500万年の人間的遺伝子の生物的な本能で擦り込んでいきたい。

 椎(しい)・椨(たぶ)・樫(かし)を植えなければ本物の森の再生はない。本物は生き延びるもの。木は芝生の表面積の30倍、一人が5本を植えよう。アーバンフォレスト、都会を取り巻く植林。無知は罪悪。植物は根で勝負、自然のように混植・密植にする。現場主義で、机上ではなく、身体で覚える。背骨となる森を作れ!

 未来を、あなたの家族や愛する人を守るため、行動しましょう、ということで、フィロソフィーを彼は淡々とながら情熱と愛情を交えて伝えた。伝えたいパワーが漲りながらも、話術もおもしろく、生物学的な知識をひけらかすでもなく、やる気を助長させる講演だった。

 会場はいつまでも暖かい感動の拍手で包まれていた。(2010/02/23 19:45)

背景色:常磐色(ときわいろ #007b43)


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