ヘッドラインの白洲次郎氏の生涯を綴った『占領を背負った男』を読み終えた。3月28日、ブログ「白洲次郎氏とは?の延長上にあるけれどね。
何というのだろう、戦前・戦後を通じて、これだけ気概があり、日本の未来を考え、口は悪いが、先を見据えた持論を持ち、どんな交渉事にも自ら望み、また、占領中の苦汁を飲まされた数々の出来事、決して表舞台に立とうとはせず、ポストや権力を振りかざすことにまったく興味がなく、どんな立場の人にも「きっちり物申す」人であったようだ。すさまじいほどの勢いと行動力、自分で持論をちゃんと持っていたのは絶えず考えていたから、情報を収集していた、というより人望で彼のところへは情報が降り注いできたのだろう。
3月29日、「武相荘」を見てきただけに、彼の陰を忍ばざるを得なかったですね。
僕からするとある種の憧れみたいな気持ちにさせられる。数限りないエピソードの中で、例えば食事をするとき、お抱え運転手に先に食事をさせる程の気配りもみせる。別に気を使っているわけじゃなくて、自然と相手の身にたった振る舞いができたのだろうね。かと思いきや、交渉相手を怒鳴り散らすパワーで、強烈なウィットなジョークも降らせながら、いくら目上であろうが、ポストがあろうが、お構いなし。
陰で戦後の吉田茂を”じいさん”と慕い、また、ここでも喧嘩口調で本音トークしながら、で縁の下の力持ちとなったのだね。
気概のある骨太な紳士だと誰しも認めるだろう。アメリカが唯一、”油断ならない男”、”あなどれない男”としてマークされ、また、彼を慕う人がどれだけ多かったのかも判る。
週刊朝日(1976.11.18号)のインタビューの中で日本の現状を憂えて次のように答えている。これが僕には言いたいことのすべてではなかったのかな、と思ったね。抜粋する。
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『今の政治は交通巡査だ。目の前にきた車をさばいているだけだ。それだけで警視総監にはなりたがる。政治家も財政のお偉い方も志がない。立場で手に入れただけの権力を自分の能力だと勘違いしているヤツが多い。』
また教育問題では、『日本人は話がつまらんですよ。・・途中略・・ 教育が悪いんですな。あなたが大学で教授して講義をする。それを生徒が筆記して丸暗記で試験へ行く、そしてそのとおり書くと100点、そんなバカなこと世の中にあるものですか。自分で考えるとくことを教えない。日本くらい自分でものを考える奴が少ない国はありませんよ』とも。
学べることが多かったのですよね、気持ちとしては僕とベクトルは同じ空気なのだけれど、やっぱり白洲次郎は凄い人だったと感じ入るね。
明日から『白鯨』を読もう。超大作の名作だ。じゃ。
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