『白い犬とワルツを』を読み終えて。 2009
9/27
日曜日

 随分昔、ある人に勧められた本が会社の棚の中に置き忘れ去られていたのを見つけた。栞をみると、何故か121ページに挟まれたままだ。確かに途中まで読んだ記憶はある。ちょうどいい。ほとんど忘れているだろうから、もう一度、冒頭から一気呵成に読んでみた。どうだろうか。最後は泪が少しばかり滲んでしまうのは、歳のせいだけじゃないだろう。僕もこのような人生の終焉を迎えたいと思う。いや、心からそんなことを思っているのかどうか、かなり怪しい。しかしだ、人生、まだまだ捨てたものじゃない、希望の灯火は消えないし、やりたいこともたくさんある、為さねばならないことも多くある。くたばるには六十年は早い。百まで生きるぞ。みておれ。(2009/09/27 17:16)

 真実の愛の姿を美しく爽やかに描いて、痛いほど胸をゆさぶる大人の童話。あなたには見えますか?

 長年連れ添った妻に先立たれ、自らも病に侵された老人サムは、暖かい子供たちの思いやりに感謝しながらも一人で余生を生き抜こうとする。妻の死後、どこからともなく現れた白い犬と寄り添うようにして。犬はサム以外の人間の前にはなかなか姿を見せず、声も立てない      。真実の愛の姿を美しく爽やかに措いて、痛いほどの感動を与える大人の童話。あなたには白い犬が見えますか?不思議な「白い犬」が小説のなかで、あるときは跳びまわり、あるときは主人公のかたわらにうずくまる。五○年以上もつづいた結婚生活の化身ともいうべきこの「白い犬」が神出鬼没、現実と夢幻のあわいを跳梁するさまは、この作者ならではの芸の見せどころである。が、それだけではない。主人公が子供たちに尋ねたように、作者は読者に、「あなたにはこの『白い犬』が見えますか。見えるような生涯を送ってきましたか」と問いかけているのだ。そういう意味で、これは大人のためのメルヘンといってよいかもしれない。「解説」よリ

著者:テリー・ケイ
文庫: 272ページ
出版社: 新潮社 (1998/02)
発売日: 1998/02
内容(「MARC」データベースより)
恋愛は若者だけの特権ではない。ここに描かれた老夫婦の間にも、生涯をかけたロマンスがあった。片方が欠け、孤独な人生の同伴者として老人の生を見守る白い犬とは? 痛いほどにやさしい幻想的な小説世界。
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