さて、今朝と昼休みでヘッドラインの「まだ人間じゃない」残り部分の100頁余りを読了した。 今回もいいぞ。 ますます、彼贔屓となるわ。
1980年にマーク・ハースと選によって刊行された短編集「THE GOLDEN MAN」の訳書(二分冊の下巻)。既存の短編集に未収録の作品を集めたもので、ハヤカワ文庫から刊行されている。原書は1冊だが訳書は2巻に分かれており、本作はオリジナルの後半部分8編を収録。1954年代に発表された作品4編、64年発表が3編、74年発表が1編という構成で、その他にもディックの「あとがき」と「作品メモ」を訳出・収録している。尚、二分冊の上巻は「ゴールデン・マン」のタイトルで同じくハヤカワ文庫から刊行、オリジナルの前半部分を収録している。
- The War With The Fnools フヌールとの戦い (1964) 友枝康子・訳
- The Last Of The Masters 最後の支配者 (1954) 浅倉久志・訳
- Meddler 干渉する者 (1954) 大瀧啓裕・訳
- A Game Of Unchance 運のないゲーム (1964) 浅倉久志・訳
- Sales Pitch CM地獄 (1954) 浅倉久志・訳
- Precious Artifact かけがえのない人造物 (1964) 小川隆・訳
- Small Town 小さな町 (1954) 小川隆・訳
- The Pre-Persons まだ人間じゃない (1974) 友枝康子・訳
特に最後の「人間じゃない」は堕胎をテーマに扱っていて、どこで法律的に線引きをするか、人工が莫大増加となり、人口増加率0%維持をするため、魂の宿っていないとする満年齢12歳以下の子供たちは、「生後堕胎」として、親が望めば、子供を差し出すことが可能というお話で、このテーマは重いね。 しかし、親の愛情というのは、いつの時代も変わらないのじゃないのかな、命の重みを疎かにするなということもあるけれど、かなり論議を醸し出したテーマだね、堕胎を容認するか、否認するか、賛否両論だから。 (2009/08/31
19:58)
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文庫: 317ページ
出版社: 早川書房; 新装版版 (2008/3/7)
発売日: 2008/3/7
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