仏教の柱となる教え 2009
5/24
日曜日

 5/21(木)ブログでお約束した少し掘り下げた話で『図解ガイド「世界の三大宗教」重要ポイント83 (知的生きかた文庫) (文庫) 』から一番僕にはフィットする仏教の話題をしましょう。

◆「悟り」とは「諸行無常」を理解すること
 釈迦が悟りを得たことで、仏教が誕生したのだけれど、じゃあ、釈迦はいったい何を悟ったのでしょうか。次のような心理を悟ったとされている。

 「この世にあるすべての事物は永遠に存在するものではなく、常に変化している。すべての事物は必ず何かの””によって生まれるため、単独で存在しているものは、一つもない。また、必ず他との関係性を持っているので、自分(のもの)という存在もない。ところが、人は自分が永遠に存在すると思い込み、すべてを自分のものにしよう、自分の思い通りにしようとする。だから、この世のすべてを苦しみに感じるのである。

 これは、煩悩(ぼんのう)といわれる、人はいつまでも若いままでいたい、病気を治したい、死にたくない、あれが欲しい、これを自分のものにしたい、なあんていう執着心ですね。それら欲望が一時的に満たされることもあるけれど、永遠に続くなんて保証できるものじゃないし、現実そんなことはないでしょ。釈迦は、万物の心理を知らないから、あるいは素直に受け入れることが出来ないから、人は何でも自分の思い通りにしたいという煩悩に囚われて、自ら苦しみをつくり出してしまっている。万物の心理を知り、自分の煩悩を断つことが出来れば、すべての苦しみはなくなり、これまでとは違う究極の静かな安らぎの境地が得られるはずだ、と釈迦さんはいっているのですね。

 釈迦の「悟り」を簡潔にすると、以下の表のとおり。

諸行無常
(しょぎょうむじょう)
諸法無我
(しょほうむが)
すべてのものは、必ず変化し、常に同じものとして止まらない すべての存在は、必ず他との関係性によって生まれる
一切行苦
(いっさいぎょうく)
涅槃寂静
(ねはんじゃくじょう)
この世にすべてのことは、自分の思い通りにならない 仏の智彗を学び実践し、到達する悟りの世界は、心の静まった安らぎの境地

「縁起」を理解するのが仏教を知る第一歩

 釈迦は自分の「悟り」を「教え」として体系化したんだね。それが「縁起」と呼ばれる教えで・・

「縁あって起こる」という字の示すとおり、「すべての物事は原因があれば結果が生じ、原因がなければ結果も生じない」という意味で、つまり、この世に存在するすべての事物には必ず因果関係があって、それが事物を構成しているのだと。そのことを理解して、自らの煩悩を上手にコントロールすることが大切だという教えが、釈迦の説く縁起説ってことになる。

 釈迦はさまざまな縁起について残しているのだそうだけれど、中でも「十二縁起」が有名だから、苦しみを生み出す縁のつながりを十二に区分して、次のように教えている。ピックアップしましょ。

◆釈迦の説いた十二縁起

第一の縁 無明
(むみょう)
根本的に無知な状態(が第一の原因で↓)
第二の縁
(ぎょう)
存在を成り立たせる潜在的な意識(が生まれ↓)
第三の縁
(しき)
対象を識別する潜在的な心の活動(が起こり↓)
第四の縁 名色
(みょうしき)
心の中の主観や観念的側面と、その対象となる側面(が生じる↓)
第五の縁 六処
(ろくしょ)
(すると)視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚という近くという六つの感覚領域(が働きだし↓)
第六の縁
(そく)
(それによって)感覚器官が対象を認識(と結びつく↓)
第七の縁
(じゅ)
(すると)快感や深いなどの感受作用(と↓)
第八の縁
(あい)
愛着したものへの執着(が生まれ↓)
第九の縁
(しゅ)
(そこから)愛着したものへの強い執着と欲求(が生まれ↓)
第十の縁
(う)
(その影響で)執着によって引き起こされる生存(が現れ↓)
第十一の縁
(しょう)
生存によって新たに生まれたもの(が生じ↓)
第十二の縁 老死
(ろうし)
(やがて)生によって起こる老いや死(が訪れる)

 釈迦はこのような苦しみの原因から結果までを詳細に分析し、その一つひとつの縁を理解して、そこにある自分の煩悩を減することを説いた。 今風にいうと、「物事の成り立ち(原因と結果・因果)をしっかりと見極めて、自分の心(感情)を上手にコントロールしなさい」といってるのだよね。(2009/05/24 7:10)

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