白洲次郎『プリンシプルのない日本』を読んで。 2009
4/22
水曜日

 ①3月28日、ブログ「白洲次郎氏とは?
 ②3月29日、「武相荘」
 ③4月1日『占領を背負った男』
に続く白洲次郎氏の話題だね。

 まず、ヘッドラインの「プリンシプル」の意味から確認しましょう。何事も順序立てるってことは大事。

"principle"
1 原理, 原則, 公理, (自然現象・機械などの)原理, 法則
2 (…という)行動指針, 信条, 主義, 定見((that節))
3 ((通例~s))節義, 徳義
5 《化》素(そ), 精(せい)

 となりますけど、原理、信条と訳した方がいいと思う。彼が1950~1960年代に散発的に文藝春秋に寄稿した内容でね、時事ネタに対して、”憤懣やるせない”、”自分はこう考える”の読み切り型で構成されている。

 文中で、良いこと言うねぇ、そのとおり、ってところがあって、抜粋すると、『日本語でいう「筋を通す」というのは、ややこのプリンシプル基準に似ているらしいが、筋を通したからといってやんや喝采しているのは馬鹿げているとしか考えられない。あたり前のことをしてそれがさも稀少であるように書きたれられるのは平常行動にプリンシプルがないとの証明としか受け取れない。何でもかんでもひとつのことを固執しろというのではない。妥協もいいだろうし、また必要なときも往々にある。しかしプリンシプルのない妥協は妥協ではなくて、一時しのぎのごまかしに過ぎないのだと考える。日本人と議論していると、その議論のプリンシプルはどこにあるのかわからなくなってくることがしばしばある。それは私の理解が低いだけではないらしい。(本文219ページより)』

プリンシプルのない日本 (新潮文庫)
白洲 次郎
4101288712

 ・「いいものはいい」と率直に受け入れる
 ・実直
 ・人情派
 ・稀有な日本人
 ・的確な指摘
 ・欲得に目が曇らず物事の本質を見抜く・・

 対談での会話からもプリンシプルぶりな考えが溢れ出ていて、言葉からも人柄が偲ばれるしね、もっと、この人の言動なり発言を読みたいね、ほんとうに、筋がびしっと通っていて、すべての事柄にプリンシプルが基盤としてしっかりあって、それを軸にしているから、ぶれない、一貫性がある、信用できる、ってことでしょうかね。いい本だった。

 夕刻から、阿刀田高さんの18の話からなる短編集「こんな話をきいた」を読み始めている。彼の作品は初めてなんだ。ワクワクだね。

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