幻の長距離・超重爆撃機『富嶽(ふがく) 2009
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金曜日

 朝のコーヒーブレイクタイム、今日は雨雨降れ降れ、ですね。一昨日のブログの「航空科学博物館」に鎮座していた三菱重工「ハ50」エンジンを話題にしましょう。

 その前にヘッドラインの話題。戦時中、中島飛行機のオーナーであった中島知久平氏が、B29を遥かに凌ぐ、B36ばりの長距離・超重爆撃機を作るんだ、どうだ、どんなもんだって構想を打ち立てたんだね。

 まず、その度肝をぬくのはその巨大さだけれど、全幅65メートル、全長45メートル、全備重量160トン、5000馬力エンジン6基、高度7000メートルで最速680キロメートル、爆弾20トン搭載で航続距離16,000キロメートル、これが無謀と考えないところと、八方ふさがりだった日本の対米国に対する本土爆撃機の構想だったんだね。結局、戦局悪化により、昭和19年7月に開発中止、試作機は作られず仕舞いだった。

 さて、開戦3年目にあたる昭和18年1月末、和久平氏は三鷹研究所に各製作所所長や設計部門の幹部、二十数名を招集し「Z機」計画の中で「必勝防空研究会」を開くんだね。その中で設計段階で、『富嶽』の装備によって①爆撃機、②掃射機、③雷撃機型、④輸送機型の4種類があって、作戦に応じてこれらの組み合わせを変えようとなっていた。

 エンジンに触れよう。三菱重工が1944(昭和19年)に陸軍用に開発した大型機用のエンジン、3基試作したうちの一つが1984(昭和59年)、羽田空港で発掘されたんだってね。スペックは、ピストンエンジン、空冷、星形、11気筒×複列、過給器付、出力:2,600馬力、回転数:2,400回/分、重さ:1.5トン、排気量:60リッター、試運転は1944~1945年。

軍用機開発物語
(設計者が語る秘められたプロセス)
単行本: 283page
出版社:光人社
土井武夫ほか
 内容(「BOOK」データベースより)強大な連合軍空軍に対抗すべく、数々の傑作機を生みだした日本航空技術陣―グラマンの追撃をふり切った艦上偵察機彩雲、長大な航続力を誇る二式飛行艇、液冷戦闘機飛燕等、精巧なメカニズムや完成までの苦難の道程を、個々の機体に携わった開発・設計者が綴った話題作。付・十二試艦戦零戦試作過程写真集。

 でもね、幻と言わざると得ないのは、物資不足、燃料調達困難、要員不足と訓練の困難、運用面、巨大工場の準備、何をとっても楽観できるネタは一つもなかったんだよね。

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