『たそがれ清兵衛』、日本映画もいいものだ。 2008
11/23
日曜日
勤労感謝の日

 暇人、本日2本目のブログ、作家、山本一力さんの本にハマって作家買い状態なのだけれど、ほとんどの小説は江戸時代、深川を中心とした庶民の人情味溢れる作品が多い。それら活き活きと描かれる活字の中を彷徨うにつれ、江戸時代の生活に興味が湧いてきたんだね。

 今回10冊目となった「おらんくの池」という週刊文春に連載されたエッセイを読んだ。

 『見ざったら、一生の損かもしらん』という章の中で、著者が「・・つい先日、見事な映画に出会うことができた。余計な、こざかしいひとこと抜きに、安心して、とことん褒めることができる映画だ」とある。

 時代劇、そして江戸時代(末期)、僕の欲していた欲望が、彼が勧めたエッセイの中の映画と、見事に絡み合った。それが『たそがれ清兵衛(2002年作品)』だった。

 観ないわけにゃ、いかぬわい・・・

 エッセイを読み終えたその足で、TUTAYAへ駆け込み、DVDを捜すのも、もどかしく、速攻、店員のお姉様に「たそがれ清兵衛が観たいです。ありますか?」と。

 「捜してきますから、お待ち下さいね」と、笑顔を切り返しながら、俊敏な行動で、5秒程で戻ってきた。頬を赤らめながら手続きをしてくださった。機敏なウゴキはいつみても美しい。男女関係なくプロに徹した動作には無駄がない。 

(あのね、不思議なのだけれど、女性の店員さんやウェイトレスさんね、僕と、たかだか数十秒、話をするときに、ポッと顔を赤らめることがしばしばあるんだね、やっぱ、目つきがスケベなんだろうね、いやらしいってことかな、スケベ光線がきつすぎるんでしょうね、反省反省)

 

 ところで、僕は随分、日本映画を観ていない、と思ったね。大体、半年前に上映された新作コーナーにある海外ものが多いし、たまにマイナーな映画を借りることもあるけど、日本映画コーナーは見向きもしなかったんだよね。

 この映画、山田洋次監督の作品で、寅さんシリーズは何本も観ているけれど、彼としては初めての時代劇だったようだね。

 映画って台詞がストーリーを展開するのは二流でね、すべて、役者が情報をしゃべっちゃう、土曜日の夜なんかにやってる(昔はやってたね)サスペンスものみたいに、最後に種明かしを復唱しちゃうみたいな、げんなりしちゃう。

 良い映画は動作で心情を語る。シナリオで言えば、当然原作がしっかりしていて、且つ、ト書きがウマイ、そこが脚本家、演出家の見せ所なのでしょうね、山田監督は、人の心をしっかりと動作で観客に理解させ、それでもって、安心させて、映画の中に引きづり込ませてしまうのだよね。

 映画の中で、藩命により、井口清兵衛(真田広之さん)が支度をするため、思いを寄せる朋江(宮沢りえさん)に来て貰い準備をする。その朋江の「判りました」の返事の代わりに、素早い身動きでたすきをかける。

 支度を終えた朋江がたすきの結び目をするっとほどく音と動作が、如何にもきちんと躾をされた美しさ、命を落とすかもしれない清兵衛に対する思いが十分過ぎる位に伝わってきて、僕はドキドキした。

 日本映画もすばらしいですよね、こんな作品なら、どんどん観ないと損をする、って感じたな。

 真剣勝負の場面もよかったし、外国映画じゃ、こんな凛とした映画は作れないね。すらばしい。

 じゃ。
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