公式アルバムとしては最終録音となったアビー・ロードを紹介する。(発売順序としてはアビー・ロード→→レット・イット・ビーである。レット・イット・ビーは、アビーロードより先に録音されているが、お蔵入りとなっていたため)
イギリス |
1969年9月26日 (stereo) |
日本 |
1969年10月21日 (stereo) |
初CD |
1987年10月19日 (stereo) |
ジャケットはビートルズのほとんどの曲を録音したアビー・ロードスタジオ前の横断歩道で撮影された。ポールが裸足で横断歩道を渡ることや、左に写った車のナンバープレートが、”もし(ポールが生きていれば)28歳となるとなることなどが死亡説となり波紋を呼んだ。この同じショットを撮りたいために未だに全世界からファンが押し寄せてくる。僕もロンドンに行く機会があれば迷いなく裸足で横断歩道を渡る。
アビーロードの後発でリリースされたレット・イット・ビー(※注1)(原題はゲット・バックだった)をライブ録音で撮り終えてはいたが、あまりにも散漫でリリースするレベルに達していないとの判断から、この時点ではお蔵入りとなっていた。
アビー・ロードは、もう一度、ジョン・ポール・ジョージ・リンゴがスタジオに集まりレコーディングした、彼らの最期のアルバムとなった。このアルバムを一番にあげる人も多い
>
(※注1)レット・イット・ビーはその後、フィル・スペクターがゴテゴテのアレンジをしリリースされたが、ポール自身は自分の曲にオーケストラ、女性コーラスがオーバー・ダブされたことに強憤りを感じることになる。
#1:ビートルズ4人を歌ったとも言われる歌詞、そして、メロディーはチャック・ベリーの「ユー・キャント・キャッチ・ミー」に極似しているとして、のちに訴訟問題を引き起こす。ポールのベース・プレイが独特。
|
#2:初めてシングルのA面になったジョージの曲。多くのカバーを生み、ジョージ自身も「最も成功した曲」と認めている。ジョージの死後、ポールはこの曲をコンサートでジョージに捧げた。
#3:明るい曲調とはうらはらに、歌詞の内容は不気味。シンセサイザーも多用されている。のちに『レット・イット・ビー』となるアルバムのセッション、「ゲット・バック・セッション」で何度もリハーサルされていた。
#4:1950年代風のロック・ナンバー。パワフルな声を出すために、ポールは毎日早めにスタジオ入りしてリハーサルを重ねていた。ジョンはのちに「僕ならもっとうまく歌えたのに」と語る。
#5:リンゴのオリジナル2作目。嫌気がさして、『ホワイト・アルバム』のセッションを抜けたときに思いついた曲。曲作り、特にコード進行はジョージが手伝っている。リンゴの優しさに満ちあふれた曲。
#6:4つのバースだけという簡潔な歌詞でジョンがヨーコへの想いをストレートに歌うヘビーなブルース。後半のジェットノイズのような音はシンセサイザー。カット・アウトのエンディングが衝撃的。
#7:自社アップルのビジネス・ミーティングをさぼって、ジョージがエリック・クラプトンの家で書いた曲。ジョージが最も早くロックに取り入れたシンセサイザーが効果的に使用されている。
#8:ジョンがヨーコに、ベートーベンのピアノ・ソナタ「月光」を逆に弾いてくれるように頼み、それをヒントに生まれた曲。ビートルズのレコーディングで初めてムーグ・シンセサイザーが使われた。
#9:アップルの財政状態の悪化について歌った曲。未完成の作品を集めて1曲に仕上げたもので、ピアノの弾き語りに始まってホンキー・トンク調、さらにはロックンロールへと展開する。この曲からアルバム『アビイ・ロード』B面の壮大なメドレーが始まる。
|
10:ジョンがインド滞在中にドノバンから教わった、得意のスリー・フィンガー奏法が効果的に使用されている曲。スペイン語のような歌詞は言葉の響きで遊んだ独自の言葉。
#11:ジョンにはめずらしく特定の人物を設定した曲。マスタード氏の妹「パン」も登場する。
#12:「ミーン・ミスター・マスタード」の続編。歌詞はナンセンスそのものだが、曲は強烈にロックで、リンゴの激しいドラム、ギターのリフ、ポールのベースと、バンドならではのサウンド。
#13:アップル設立を発表するためにニューヨークへ行った時に書かれた曲。ヨーコのことを歌った曲だという説もある。リンゴのドラムが抜群のタイム感で、曲を煽動している。
#14:16世紀にトーマス・デッカーが作った子守唄をもとにしたピアノ・バラード。ピアノのイントロが印象的。曲はすぐさま次の「キャリー・ザット・ウエイト」になだれ込む。
#15:ビートルズ解散直前に、意味深な歌詞を歌った曲。曲中に「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」のメロディも再登場する。リンゴのコーラスがフィーチャーされている。
#16:タイトルどおり、ビートルズの実質的なラスト・ナンバー。リンゴのドラム・ソロと、3人のギター・バトル(ポール→ジョージ→ジョンの順で3回ずつ弾いている)にそれぞれの個性が見られる。
#17:ビートルズの中でいちばん短い曲。「ミーン・ミスター・マスタード」と「ポリシーン・パン」のあいだに収録される予定だったがカットされ、そのテープが偶然アルバムの最後につながれていたものがそのまま収録された。
(※曲紹介はビートルズ・シネ・クラブ参照)
|