2008年6月12日(木) 
唸るね、この横山秀夫さん、プロの作家だな、ウン

 横山秀夫の「看守眼」、彼の作品は初めて読んだ。「半落ち」でブレークした作家だけれど、切れがシャープでエッジが鋭く効いていて、それでも最後はほのぼの、ほんわか、暖かい後味がする短編作品でしたね。人間が描けている、感情移入出来るってことね。これはとっても大事。

 よくね、アマゾンでも読んだ感想、つまりレビューを書いていて、購入する前は参考にサラッととりあえず読んではみるね。全部じゃなく、二つ、三つね。何ていうんだろうね、大変参考になるのもあるし、かといえば、ここはこうならない、こんな複雑な状況にしなくていい、と、ぐちゃぐちゃレビューを書いている輩がたまに、ほんとうにたまにいるね、「うっとしいわ、そんなレビュー、私はこれほど判ってますよ、って鼻にかけた言い方、顰めっ面になってしまうわ、なんで素直に読めないの? 粗探しばかりして何が楽しいんじゃ」と思うね。随分、捻くれていやな感じがするし、自分が有頂天でレビューしているつもりなのかも、なんだけど、それって、まったく「私バカ丸出しでしょ」ってのと同じですからぁ、死ね、なんですよね。こっちがうなだれるからやめてもらいたい。

 まあ、ぼやきはこの辺で・・
短編で、六篇。
①看守眼
②自伝
③口癖
④午前五時の侵入者
⑤静かな家
⑥秘書の男
新書: 240ページ
出版社: 実業之日本社 (2007/7/20)
ISBN-10: 4408504858
ISBN-13: 978-4408504858
発売日: 2007/7/20
 パラパラってページ捲って、ウマイって表現思いつきでピックアップするね。

『中心に寄っていた両方の眉がすっと左右に広がる』→緊張がほぐれたってことね。

『落胆が肩にきた』→説明するまでもなくすっと判るでしょ。「がっかりした」って書かないところがプロの作家。

『その言葉は天使が発したとも悪魔が発したとも聞こえた』→文脈上、ちょっと説明が難しいけど、まさにこの表見なんだと恐れ入るね。

『真一文字であれねばならないはずの唇の端を笑みに変えてしまう』→落胆しているのに裏腹に出る態度、照れ隠しって感じかな。

 僕は、④午前五時の侵入者、⑤静かな家、が特に感情移入出来たね、多分誰が読んでも十中八九外れはないと思うよ。表現がウマイだけじゃなくて、話も身近で心情表現がニクイくらい唸っちゃうから。

 他の彼の作品も読んでみよう、っと・・と思い浮かべながら、ストック中の未読本を数えたら70冊近くある。山小屋に籠もりたい・・・

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